近年では、新聞やテレビのニュースなどで『遺品整理』という言葉をよく耳にするようになっています。実際に、遺品整理サービスのテレビCMなども頻繁に放送されるようになっており、こういったサービスがあるのだということは広く知られるようになっています。
このような状況の中、遺品整理を専門とする業者も増加傾向にあると言われているのですが、一口に『遺品整理サービス』と言われても、具体的にどのようなサービスを提供してくれるものなのかイマイチ分からなくて依頼するのを躊躇してしまう…という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、利用者が増加していると言われていいる遺品整理サービスに関して、具体的なサービス内容を簡単にご紹介していきたいと思います。遺品整理サービスと聞くと、扱いに困っている遺品の処分をしてくれるだけ…と考えてしまう人も多いですが、実は価値のある物を買い取ってくれたり、形見分けのサポートをしてくれるなど、さまざまなサービスを提供してくれるのです。
遺品整理サービスって何をしてくれる?
それでは、遺品整理業者に依頼した場合に受けられる主なサービス内容をご紹介していきましょう。ただし、注意してほしいのは、以下でご紹介するサービス内容は、全ての遺品整理業者が共通して提供しているわけではないということです。冒頭でご紹介したように、近年遺品整理業者は増加しているのですが、全てのサービスを網羅している総合的な業者と、一部のサービスに特化している業者に分かれるのです。
ここでは、遺品整理サービスのメインとなる内容をいくつかご紹介しておきます。
サービス① 貴重品と処分品の仕分け
これは遺品整理業者の基本となるサービスです。故人の遺品の中には、家具や家電、衣類や雑貨に貴金属品など、さまざまな物品が存在します。そして、その中には今後も使っていきたい・保管しておきたいものや、残しておいても困るような処分品が混在しているのです。
少量の遺品であれば、残しておくものと処分するものの仕分けは簡単に済むでしょうが、一軒家などになると遺品も大量になり、仕分けするだけで人苦労だ…なんてことも珍しくないのです。しかも、素人目には『不用品』にしか見えないものでも、実は価値が高い品物も混ざっており、自分の判断だけで仕分けしたのでは、思わぬ貴重品を処分してしまう…なんてことになる可能性もあるでしょう。
こういった場合に便利なのが遺品整理業者が提供する遺品の仕分けサービスです。遺品整理業者は、遺品の処分をするだけでなく、まだ価値がある物に関しては買取りも行っているため、リユース・リサイクルできる品物を素早く的確に仕分けすることが可能です。
つまり、手間なく遺品の仕分けが完了し、自分で行っていたら処分してしまったかもしれない貴重品の買取りまでしてもらえるのです。
サービス② 価値のある遺品の買取りサービス
上述したように、遺品整理サービスとは「単に遺品の整理をするだけ」ではなく、まだ使用できる家具・家電などをリサイクル品として買取りしてくれる業者もあるのです。遺品として残っているものの中には、「かなり古いものだし買取りは無理かな…」と考えるような物品もあるでしょうが、遺品整理業者の中には非常に幅広い流通網を持っている会社もあり、古いものでも買取り可能な場合も多いのです。
したがって、素人目ではただのゴミに見えるような物品でも、実はまだ使えると判断され買取ってもらえることもあるのです。当然、買取り品が増えれば、それだけ遺品整理業者の利益にもなるため、遺品整理サービスの料金を抑えることも可能です。
サービス③ 遺品の供養サービス
遺品の中には、買取りなどは無理でも、他の処分品と一緒に焼却されるのは忍びない…と感じてしまうような物品もあるでしょう。このような場合には、遺品の供養サービスが存在しています。
遺品の供養サービスとは、寺院などと提携して、遺品のお焚き上げや僧侶による読経サービスなどを行ってくれるものです。多くの場合、他の利用者の遺品と一緒に合同供養するという形になりますが、中には自宅まで僧侶がやってきて、その場で遺品の供養を行ってくれるサービスを提供している業者もあります。
遺品の供養サービスは、僧侶へのお布施が別途必要になったり、選ぶ供養によって料金が異なるなど、通常よりも費用がかかってしまいますが、遺品とのお別れの時間を大切に過ごせると利用者も多いです。
サービス④ 貴重品の探索サービス
遺品整理を行う際には、故人が残していた遺言書がどこにあるか分からない…、遺産相続のために土地関係の書類が必要なのにどこを探しても出てこない…なんてことが日常茶飯事に起きてしまいます。最近でこそ『終活』なる言葉が社会でも使用されるようになっていますが、日本では生前に死後の話をするのは縁起が悪い…という考えがいまだに根深く残っています。そのため、重要書類や貴重品の置き場所を家族にも伝えないまま亡くなってしまう…なんてことも多いのです。
遺品整理業者の中には、遺品整理の作業の中でこういった重要書類や貴重品を探索してくれるサービスを提供する企業が多いです。また、依頼されていない場合でも、経験則から貴重品が隠されやすい場所がわかりますので、遺族では見つけることができなかった貴重品を見つけて保管・報告してくれることも多いのです。
遺産に関わる重要書類や貴重品の保管場所に関しては、生前に本人ときちんと話し合っておくのが本来良いのですが、それができなかった場合には、プロの手を借りるのが良いでしょう。
サービス⑤ 不用品の処分サービス
遺品整理サービスの利用者が増えているのは、大量の不用品の処分に困っているから…という理由もあるからです。個人の遺品の中には、貴重品やリユースできる物品もありますが、大量の不用品も出てしまいます。少量のゴミであれば、通常の燃えるゴミの日などに出せば良いのですが、量が多くなると素人では分別すら難しい…なんてことになることも多いのです。
遺品整理業者は、こういった大量の不用品を適切に処分してくれるサービスも行っています。したがって、遺品整理を業者に任せれば、遺品の仕分けから処分までをワンストップに済ませることができるため、時間や手間を大幅に削減することができるのです。
サービス⑥ 遺品の梱包や形見分けの配送
遺品の中には、親族で形見分けするような思い出の品も見つかります。このような場合、形見として遺品を持ち帰りたいと考えるものですが、遺品の大きさによっては自分で持って帰ることができないようなものも少なくありません。また、遠方に住んでいて、遺品整理に立ち会うことができなかった親族に遺品を渡す場合には、別途配送業者を手配しなければならないことも珍しくありません。
実は、遺品整理業者の中には、こういった遺品の配送手続きを全て手配してくれるような業者もあるのです。もちろん、大切な遺品と理解してしっかりと傷などがつかないように梱包も行ってくれますので、安心して遺品が自宅に届くのを待っておけば良いだけです。最近では、遺品整理業者自体が遺品を指定の場所まで配送するサービスを行っている場合もあります。遺品整理業者に配送まで依頼できれば、通常の配送業者とは異なり、遺族にとって大切な遺品だと理解して扱ってくれますので安心です。
サービス⑦ 生前整理
遺品整理業者の中には、生前整理の相談を受け付けている企業も増加しています。本来、何を遺したいか、何を遺しておくべきかについては、本人が一番わかっているはずですので、生前に自分の身の回りを整理しておくのが良いはずです。しかし、前述したように、日本では生前に死後の話をするのをタブー視する方もまだまだ多いのも実情です。
最近ではテレビなどでも『終活』という言葉が注目されるようになっていますし、生前整理への印象も変わってきていることから、一度ご家族で真剣に生前整理の話をしてみるのも良いのではないでしょうか。そして、生前整理の相談をする場合、実は遺品整理業者が最も賢い選択と言われているのです。というのも、遺品整理業者は数多くの遺品整理の現場に立ち会っていますので、死後にどのようなものを残しておくと良いか、また残しておくべきかということを熟知しているのです。したがって、的確なアドバイスのもと、安心・納得して生前整理の作業が進められるでしょう。
サービス⑧ その他、遺品整理に付属するサービス
①~⑦までが一般的な遺品整理サービスの内容となります。しかし時には、遺品整理に付属して必要になるサービスがいくつかありますので、ここで簡単にご紹介しておきます。
- ハウスクリーニングサービス
- 特殊清掃サービス
- 簡易的なリフォームサービス
- 不動産整理などの各種手続き
遺品整理を行う場合には、現場の状況によって上記のようなサービスが必要になる場合もあります。
まとめ
今回は、近年利用者が増加していると言われる遺品整理サービスについて、遺品整理業者に遺品整理を依頼した場合、具体的にどのようなサービスを受けられるのか?ということをご紹介しました。
冒頭でご紹介しましたが、本稿でご紹介したサービス内容は、あくまでも一般的なサービス内容で、ここで紹介したサービス全てを網羅している業者と、一部のサービスに絞っている業者がありますので、実際に遺品整理を依頼する場合には注意しましょう。
遺品整理に関しては、そこまで大変な作業ではなく「自分でやれば良いや」と考える方も多いですが、実際にやってみるとかなりの手間と時間がかかってしまうものです。もちろん、大切な個人の遺品整理ですので、自分で行いたいと思う気持ちもあるかと思いますが、遺品の中には大きくて重い物品も多いですし、遺族だけではどうすることもできない場面に出くわすことも珍しくありません。そのような場合には、プロの遺品整理業者の手を借りることも決して悪い選択ではないと思いますよ。