遺品整理を進めるうえで、多くの方が直面するのが「何を捨てて、何を残すべきか」という問題でしょう。遺品の中には、捨ててしまうと後々トラブルや不利益に繋がるものが多々あるので、慎重に仕分けしながら作業を進める必要があります。
そこで今回の記事では、遺品整理で捨ててはいけないものを厳選してご紹介し、それぞれをなぜ捨ててはいけないのか、理由も詳しく解説していきます。 これから遺品整理を行う方、今まさに遺品整理をしていて、要不要の判断に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
遺品整理で捨ててはいけないものとは?
遺品整理で捨ててはいけないものは、主に以下の16種類です。
- 遺言書
- 現金
- 有価証券・保険証券
- 通帳・キャッシュカード
- 印鑑・印鑑登録証
- 身分証明書・年金手帳・健康保険証
- ローンの明細
- 請求書・支払通知書
- 故人の仕事関係の資料
- 土地の権利書
- 遺書・エンディングノート
- 返却しなければいけないもの
- 鍵
- 売却価値があるもの
- 思い出の品
- デジタル遺品
これらを誤って捨ててしまうと、手続きなどで手間がかかったり、思わぬトラブルに繋がったりと、さまざまな不利益に発展する可能性があります。 それぞれを捨ててはいけない理由は大きく分けて「法的な理由」「手続き上の理由」、そして「トラブル防止の理由」の3つに分けられます。理由ごとに、それぞれの詳細を確認していきましょう。
遺品整理で「法的な理由」から捨ててはいけないもの
ここでは、法的な理由で捨ててはいけない3種類の遺品について、その詳細を確認していきます。
①遺言書
遺言書は、法的に「故人の遺志」として認められる文書なので、決して捨ててはいけません。
遺言書には、遺産を誰に相続するか、その分配をどうするかなど、相続に関する重要なことが記されています。もし誤って捨ててしまえば、その内容をめぐって、親族間でトラブルに発展する可能性もあるのです。
遺言書には大きく「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」という種類があります。これらのうち前者2つは、公証役場に保管されています。
一方、自筆証書遺言の場合、保管方法は特に決まっていません。鍵のかかる引き出しや金庫などに保管していたり、信頼できる知人や弁護士などに預けているケースが考えられます。
また、令和2年7月10日から開始された自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、管轄の法務局で保管されます。 遺言書が後から出てくると、相続手続きを再度やり直さなければならなくなる場合もあるので、必ず最初に有無を確かめるようにしましょう。
②現金
遺品の中に現金が入っていた場合、決して捨てないように注意しましょう。遺品に含まれる現金は、故人の遺産の一部であり、相続対象となります。そのため、相続人の間で適正に分配しなければなりません。
現金を故意に捨てる人はいないでしょうが、洋服のポケットなどに入っていて、気づかずに捨ててしまうケースもあるので注意が必要です。
遺品の中の現金は、まとまった額の場合は金庫に保管されていることが多いです。しかし、細かい現金がタンスなど色々なところから出てきたり、本の間など思わぬところにへそくりとして隠されていたりすることも考えられます。 そのため、遺品整理をする際は、隠れている現金を誤って捨てないよう、隅々まで確認するようにしましょう。
③有価証券・保険証券
故人が有価証券や保険証券を所有していた場合、遺品整理で誤って捨てないように注意しましょう。有価証券や保険証券は、現金と同様に故人の遺産と考えられます。たとえば、故人が生前どこかの会社の株主だった場合、その権利は死後相続人に受け継がれます。配当金も相続税の対象となるので、証券類は必ず捨てずに取っておきましょう。
遺品整理で「手続き上の理由」から捨ててはいけないもの
ここでは、遺品整理時に手続き上の理由で捨ててはいけないものを7種類取り上げ、それぞれの詳細を確認していきます。
④通帳・キャッシュカード
故人の通帳やキャッシュカードは、捨てると手続きが面倒になるので、必ず取っておきましょう。
故人の死を金融機関が認識した時点で、故人名義の口座は一時凍結され、預貯金の引き出しができなくなります。その後、相続手続きが完了し、凍結を解除してお金を引き出すためには、故人の通帳またはキャッシュカードが必要となります。 なお、凍結解除には通帳・キャッシュカードのほか、戸籍謄本や遺言書、遺産分割協議書などが必要となります。具体的な必要資料は各銀行によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
⑤印鑑・印鑑登録証
故人の印鑑は、諸々の手続きで使用するので捨てないようにしましょう。特に、実印を役所に登録している場合は、印鑑登録証も併せて保管しておくことが大切です。
近年では、役所の手続きなどもデジタル化が進みましたが、依然印鑑がないと手続きが進めにくいものも多く、紛失すると手間が増えることが考えられます。
なお、実印登録は原則1人1つまでですが、故人が会社を経営していた場合、別途会社実印を所有している可能性もあります。 印鑑は、サイズが小さく誤って捨ててしまう可能性が高いので、スーツのポケットなどを含め、念入りに有無を確認するようにしましょう。
⑥身分証明書・年金手帳・健康保険証
故人の身分証明書は、各種手続きで必要となる場合があるので、必ず捨てずに取っておきましょう。
たとえば、健康保険証やマイナンバーカードなどは、役所での手続きを進めるうえで必要となります。また、故人がサブスクリプションなどを契約していた場合は、解約手続きを行う際に、運転免許証などが必要となるケースもあります。 なお、故人が年金受給者であった場合は、年金手帳や年金証書も捨てないように注意しましょう。故人の死後、死亡届とともに速やかにこれらを届け出ないと、死後も年金が振り込まれてしまい、後々返還する手間が生じてしまいます。
⑦ローンの明細
故人にローン残債がある場合、その明細は捨てずに取っておきましょう。
故人の死後、その財産は相続対象となりますが、ローンや借金などのマイナスの財産もそこに含まれます。金額があまりにも多い場合は「相続放棄」を選択することで、ローン残債を相続せずに済ませることもできますが、他の遺産も相続できなくなるので注意が必要です。また、相続放棄するかどうかは、相続発生から3ヶ月以内に意思決定し手続きを完了させなければなりません。 そのため、故人がローンを組んでいたか、残債があるかを判断するためにも、ローンの明細が見つかったら捨てずに取っておき、迅速に内容を確かめるようにしましょう。
⑧請求書・支払通知書
遺品整理をしていて、故人宛ての請求書や支払い通知書を見つけたら、捨てずに取っておきましょう。
たとえば、故人の光熱費の請求が残っていた場合、その支払い責任は相続人にあるので、速やかに対応しなければなりません。
また、故人が消費者金融で借金をしていたり、リボ払いを利用していたりした場合、相続放棄をしない限りは、その残債も相続人が支払わなければなりません。会社によっては、残債の一括支払いを要求してくることもあるので、書面を発見し次第早めに対処することが重要です。
⑨故人の仕事関係の資料
遺品整理をしていて、故人の仕事に関する資料が出てきたら、捨てずに保管しておきましょう。
勤め先から貸し出されている物品がある場合も同じです。
また、故人が会社を経営していたり、取締役などの重要な役職に就いていたりした場合は特に、法人手続きでそれらの資料が必要とされる場合があります。
そのため、仕事関連だと思われる資料は一旦保管しておき、会社にその旨を伝えておきましょう。その後、会社側で手続きが完了し、不要と連絡が入れば処分して問題ありません。
⑩土地の権利書
故人名義の土地がある場合、その権利書は捨てないように注意しましょう。
土地は現金などと同様、死後相続の対象となります。権利書があれば、相続人の間での話し合いがスムーズに運び、無用なトラブル発生を避けられます。 なお、土地の権利書がなくても相続登記などの手続き自体は行えるので、見つからない場合は無理に探さなくても問題ありません。遺言書などに土地に関する相続指示があれば、それらを権利書の代わりとして話し合いを進めることも可能です。
遺品整理で「トラブル防止の理由」から捨ててはいけないもの
ここでは、身内や業者とのトラブルを防止するうえで、捨ててはいけないものを6種類取り上げ、それぞれの詳細を確認していきます。
⑪遺書・エンディングノート
故人が遺書やエンディングノートを残していたら、捨てずに取っておきましょう。
先述した遺言書と違い、遺書やエンディングノートに法的効力はありませんが、そこには故人の遺志が書かれているため、内容は必ず確認するべきだといえるでしょう。
なお、近年では紙面ではなく、デジタルに遺書やエンディングノートを残すケースもあります。音声や動画などで故人の最後の言葉が語られている場合もあるので、見逃さないようしっかり有無を確認しておきましょう。
⑫返却しなければいけないもの
故人の遺品の中に、レンタル品やリース品など、返却しなければならないものが含まれていたら、決して捨ててはいけません。
レンタル・リース品は、業者から貸与を受けているものであり、故人の所有物ではありません。これらを処分してしまうと、業者に違約金を請求されるなどのトラブルに発展しかねません。
よくあるレンタル・リース品としては、WiFiルーターやウォーターサーバー、PC、自動車などが挙げられます。レンタル・リース品には、たいてい提供元を示すステッカーが貼られているので、処分する前にステッカーの有無を確認するとよいでしょう。
また、近年では洋服のレンタルサービスなどもあるため、誤って貸与品を処分しないよう、可能な限り故人がしていた契約を確認しておくことが大切です。
⑬鍵
遺品整理をしていて、何かの鍵が出てきたら、捨てずに取っておきましょう。
重要な資料が入っている引き出しや金庫などは、鍵で施錠されているケースが多いです。その際、該当の鍵を捨ててしまうと、専門業者に開錠を依頼しなければならず、手間と費用がかかってしまいます。
鍵は、洋服のポケットなどに無造作に入れられていることも多いため、誤って捨ててしまうことがないよう、細部まで確認しながら作業を進める必要があります。
⑭売却価値があるもの
遺品整理をしていて、貴金属や骨董品などの売却価値があるものが見つかったら、誤って捨てないようにしましょう。
売却価値のある遺品は、現金など同様に相続の対象となります。また、素人目には判断ができないものでも、専門家に鑑定してもらった結果、思わぬ価値があることが判明するケースもあります。そのため、売却価値がありそうなものが見つかったら、一旦他のものと分けておき、後日査定に出して価値を確認するとよいでしょう。
なお、遺品整理業者の中には、作業と同時に査定を進めてくれる業者もあるので、スムーズに査定をしたい場合はぜひ検討してみるとよいでしょう。
⑮思い出の品
故人の思い出が残る品は、安易に捨てないように注意しましょう。
故人と過ごした思い出は、遺族それぞれで異なります。そのため、ある人にとっては何でもないものが、ある人にとっては掛け替えのない思い出の品になることも考えられます。
そのため、遺品整理をしていて、故人の写真や手紙などが出てきたら、捨てずに一箇所に保管しておき、後日他の遺族に要不要を確認してもらうようにしましょう。
また、取っておいてほしい遺品がないかどうか事前に意見を聞いておくと、よりスムーズに作業を進められます。
⑯デジタル遺品
デジタル遺品とは、PCやスマートフォンなどのデジタル機器に収められた遺品(データ)のことです。
近年、私たちの生活は急激にデジタル化が進んでいるので、大切な思い出がデジタル遺品として残されていることも少なくありません。そのため、PCやスマートフォンなどを処分する際は、内部のデータを確認し、重要なデジタル遺品がないかチェックするようにしましょう。
なお、デジタル遺品はプライバシー性が高いものが多く、故人によっては、死後PCやスマートフォンのデータを遺族に見られたくないと考える人もいます。そのため、事前に遺言書や遺書・エンディングノートを読み、デジタル遺品に関する指示がないかどうかも確認するとよいでしょう。
まとめ
今回は、遺品整理で捨ててはいけないものについて、理由を含めて詳しく解説してきました。
遺品の中には、法的に重要なもの、手続き上重要なもの、トラブル防止のために重要なものが含まれており、これらを安易に捨ててしまうと、後々不利益に繋がりかねません。
今回ご紹介したことを参考に、重要な遺品を誤って捨てないよう、慎重に遺品整理を進めるようにしましょう。
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京都市東山区での遺品整理
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- 作業料金
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- 2DK
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- 人数・時間
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- 住所
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- トラック
- 2トントラック、パッカー車
遺品整理
奈良県大和高田市での遺品整理
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- 作業料金
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- 間取り
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- 人数・時間
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- 住所
- 奈良県大和高田市
-
- トラック
- 2トントラック、パッカー車
遺品整理
大阪市都島区での遺品整理
ハイツの遺品整理作業です。
お仏壇やその他の思い出のお品物の処分方法に困っておられましたので合同供養をご提案し、丁寧に遺品整理を進めさせていただきました。
- 作業料金
- 38,000円
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- 間取り
- 2K
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- 人数・時間
- 2名、3時間
-
- 住所
- 大阪市都島区
-
- トラック
- 1.5トントラック
遺品整理