孤独死の遺品整理はどうする？流れと注意点を解説

親族が孤独死した場合、その悲しみと同時に、遺品整理の問題にも直面することになります。

遺品整理は感情的にも負担が大きく、孤独死の現場では特殊清掃や衛生管理の観点から、通常以上の注意が求められます。そのため、孤独死の遺品整理をどうすれば良いか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、孤独死の遺品整理は誰がするか、基本的な流れ、そして作業時の注意点について、詳しく解説します。

孤独死の遺品整理は誰がする？｜相続人か業者依頼

遺品整理は、孤独死に限らず基本的に「法定相続人」、または故人が遺言で指定した「指定相続人」が行います。ただし、相続人が遺品整理を行うのは法的な義務ではなく、あくまで相続の一環として行われるものです。そのため、実際の作業を専門業者などに依頼しても問題ありません。

法定相続人とは、法律によって定められた相続人のことで、主に以下の順番で定められています。

法定相続人の順位

これらの相続人がいない場合、故人の遠縁の親族や行政が遺品整理に対応するケースもあります。また、故人が生前に遺言書を作成しており、特定の人を相続人として指定していた場合は、その人（指定相続人）が遺品整理を行います。

なお、相続放棄をする人が遺品整理をすると、遺産を相続したと見なされ、相続放棄できなくなる可能性があります。そのため、相続放棄を検討している場合は、なるべく遺品整理に関わらないように注意しましょう。

孤独死の遺品整理の流れ｜特殊清掃や形見分けの進め方

孤独死での遺品整理の主な流れは、以下の通りです。

1. 専門業者に特殊清掃を依頼する
2. 相続人を中心に遺品整理を行う
3. 遺品の形見分けを行う

それぞれの手順について、詳細を確認していきましょう。

専門業者に特殊清掃を依頼する

孤独死が発生した現場では、まず特殊清掃を依頼することが多いです。特殊清掃とは、遺体の腐敗などによって汚染された部屋を原状回復するための清掃作業を意味します。

特に、遺体の発見が遅れた場合、体液や腐敗臭が部屋全体に染み込むことがあり、これを一般的な清掃で完全に除去するのは困難です。また、衛生面の問題として、感染症や害虫の発生リスクも懸念されます。

特殊清掃を専門とする業者は、専用の機材や薬剤を使い、徹底的な清掃・消毒を行います。また、部屋全体の脱臭や除菌を実施することで、安全かつ清潔な状態に戻してくれます。

なお、特殊清掃には特殊な薬剤や専門的なスキルが必要となるため、専門業者に依頼することをおすすめします。

相続人を中心に遺品整理を行う

特殊清掃が終わったら、相続人を中心に遺品整理を進めます。遺品整理は故人の私物を整理し、必要なものと不要なものに仕分ける重要な作業です。

まずは相続手続きに必要な書類や、財産に関わる貴重品（通帳、保険証書、不動産の権利書など）を探し出すことを優先し、続いて、思い出の品や写真、手紙など、故人の生涯を偲ぶ大切な品物を選別します。

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遺品整理で不要と判断した品物は、自治体のゴミ回収に出すか不用品回収業者に依頼して処分します。

近年は、遺品整理の専門業者に遺品の仕分けや貴重品の探索から依頼する人も増えています。

ただし、どんな品に故人との思い出が残っているかは、遺族1人1人で異なります。そのため、後になってトラブルにならないよう、できるだけ処分前に他の相続人と相談し、全員が納得する形で遺品整理を進めましょう。

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遺品の形見分けを行う

遺品整理の最終段階では、故人の親族や親しかった友人・知人間で形見分けを行います。

形見分けは、故人を偲ぶ大切な役割があるとともに、遺品の有効活用にもつながります。なるべく多くの人に声を掛け、平等に分配されるよう配慮しましょう。

客観的な価値のある貴重品や高価な品物を分け合うときは、トラブルを防ぐため、慎重に分配しなければなりません。どの品物を誰が受け取るか、相続人で話し合って決めることが重要です。

形見分けを円滑に進めるには、品物をリスト化して共有したり、合意を得た内容を記録に残しておくことも効果的です。また、遠方で形見分けへの参加が難しい親族がいる場合は、配送するなど、柔軟な対応を心掛けましょう。

孤独死での遺品整理の注意点

孤独死があった部屋での遺品整理では、以下の4点に注意が必要です。

• 特殊清掃前の現場に立ち入らない
• 作業時はマスクと手袋を装着する
• むやみに窓を開けない
• 残す遺品はなるべく清潔な状態にする

それぞれの注意点について、詳細を順に確認していきましょう。

特殊清掃前の部屋に立ち入らない

孤独死があった部屋での遺品整理では、前述の通り、まず専門業者による特殊清掃を行います。その際、特殊清掃前の現場には立ち入らないように注意しましょう。

孤独死があった部屋には、遺体から出た体液や血液など感染症の発生源になり得る物質が残っている恐れがあり危険です。

また、遺体の腐敗から生じる臭気が強く、見た目も凄惨であることが多いため、立ち入ることで心理的なショックを受け、トラウマになる可能性も考えられます。

そのため、部屋の中に入るのは特殊清掃が終わった後にし、入る前は業者に状況を確認しておくと良いでしょう。

作業時はマスクと手袋を装着する

感染症の原因となるウイルスや菌が存在すると、空気中を漂い遺品にも付着している可能性があります。孤独死があった部屋で遺品整理を行う際は、感染症予防のためにマスクと手袋を装着するようにしましょう。

作業で使用したマスクと手袋は、作業終了後は速やかに廃棄するようにしましょう。

むやみに窓を開けない

遺品整理の際、換気を目的に窓を開けたくなるかもしれませんが、むやみに開けることはおすすめできません。なぜなら、遺体から発せられた腐敗臭が外に漏れると、近隣住民に不快感を与えたり、苦情が寄せられる原因になったりする可能性があるからです。

特殊清掃が完了して臭いの原因が取り除かれると、臭気はある程度改善されます。それでも耐えられない臭いが残っている場合は、換気をしても良いか、業者に相談するといいでしょう。

また、孤独死の遺品整理を業者に任せるのも一つの方法です。

残す遺品はなるべく清潔な状態にする

遺品整理の結果、形見分けなどで遺品を残す場合は、なるべく清潔な状態にすることを意識しましょう。

もしそのまま形見分けをしてしまうと、臭気によってショックを受ける可能性もあります。そのため、残すことに決めた遺品は、除菌シートやアルコール消毒液を使用して、しっかり除菌・消毒をしましょう。家庭用のオゾン消臭器を使用するのもおすすめです。

しかし、遺品に付着した臭いがどうしても取れない場合は、無理に保存せずに処分するのも重要な判断です。布製品や紙製品などは臭いが染み込んで取れにくい傾向があります。

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まとめ

今回は、孤独死での遺品整理を誰がするか、そして作業の流れや注意点について、詳しく確認してきました。

孤独死した部屋の遺品整理は、相続人（法定相続人・指定相続人）が行うのが一般的です。ただ、作業が義務なわけではないので、専門業者に依頼することもできます。孤独死があった部屋では、いずれにせよ特殊清掃が必要なことが多いので、遺品整理と併せて依頼することで、作業負担を大きく軽減できるでしょう。

今回ご紹介したことを参考にして、無理のない方法で孤独死の遺品整理を実施しましょう。

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